冷蔵庫は秘密のグルメ遊園地


深夜、住人たちの寝静まった静寂をそっと破り、忍び足で向かうのは、我が家の台所に鎮座する、銀色の巨大な箱、冷蔵庫だ。

その扉をゆっくりと開けると、そこは私にとって、日中の喧騒やストレスから完全に隔絶された、魅惑的で危険な秘密のグルメ遊園地へと変貌する。

薄暗い庫内を照らす頼りない蛍光灯の下には、色とりどりの食材たちが、まるで夜の遊園地で妖しく光るアトラクションのように、所狭しと、しかし絶妙な配置で並んでいる。

奥の方には、賞味期限があと数時間後に迫っているヨーグルトという名の、スリル満点な期間限定ジェットコースターが、ひっそりと、しかしその存在感を主張するように佇んでいる。

野菜室には、まるで宝石箱のように、新鮮さを競い合う、鮮やかな緑や深紅の野菜たちが、ゆっくりと回転する観覧車のように、静かに輝いている。そして、何よりも私の飢えた心を強烈に惹きつけるのは、昨日の夕食の残りの、香ばしい匂いを纏った唐揚げという名の、夢と希望と背徳感に満ちたメリーゴーランドだ。

理性という名の入場ゲートをそっと無視し、罪悪感という名のわずかな入場料を心の中でそっと支払いながらも、ついつい夜のグルメ遊園地の甘美な誘惑に抗えず、私の右手は目的の食べ物へとゆっくりと、しかし確実に伸びてしまう。

一口食べれば、昼間の疲れも忘れさせる、至福の時間が私の全身を包み込む。しかし、その幸福感と同時に、明日の朝、冷酷な数値を叩き出すであろう体重計という名の、最も恐ろしい恐怖のアトラクションが、私の脳裏をよぎる。

それでも、今この瞬間だけは、私はこの秘密の遊園地のただ一人の住人であることを、どうか許してほしい。

明日こそは、健康的でバランスの取れた朝食バイキングという名の、健全な遊園地を目指そうと、心の中で小さく、しかし何度も固く誓うのだが……




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